文部科学省が小中学校の「少人数学級」の拡充に向けた検討をすすめている、というニュースが話題となりました。
少人数学級のメリットは、一人ひとりきめ細やかな指導が受けられることです。
また、デメリットは、国の財政の問題と切磋琢磨する競争心などを育む場が縮小されることです。
新内閣の改革の柱と言われる「少人数学級」は、前内閣時から文部科学省で推進されてきた教育改革のひとつです。
現行の1クラス40人学級の標準を、30人程度にする、という案があがっています。
そこで、改革の柱に選ばれた理由や、何が実現するためのハードルとなっているのかを、説明します。
なぜ少人数学級が改革の柱に選ばれたのか?
ひとつは、新型コロナウイルス対策です。
新型コロナウイルス対策として、教室の「3蜜」回避が必要不可欠となりました。
1クラス40人学級だと蜜につながります。
教育関係者や保護者、有識者などから、少人数クラスにすべきとの声があがりました。
40人はすし詰め状態だけれども、30人だと1メートル程度の距離を確保できます。
安心・安全を求める声に、あなたも同感されるのではないでしょうか。
もうひとつは、少人数学級拡充の施策継承です。
日本の教育環境は、国際水準に届いていないのが現状です。
よって、国の責任による教育水準の向上と、人材育成が求められています。
したがって、学校教育が抱える課題への効果が期待される小人数化は、今までも、国によって推進されてきました。
安倍元首相が設置した教育再生実行会議において、少人数学級導入を、促進していくことが合意されており、菅内閣でもそれを存続することとが決まったのです。
このことより、コロナ対策と施策の促進がマッチして、少人数学級が改革の柱となったことがうかがえます。
学校の蜜も心配だけど、学力も心配。
そんな保護者の気持ちに寄り添った施策と言えるかもしれません。
少人数学級を実現するためのハードルとは?
いい施策だから、すぐ実行すればいい。とあなたは思いませんか?
一人ひとりの身体的距離が取れ、感染防止になり、安心・安全。
コロナ禍で、不安定になった心のケアと、学習の遅れをきめ細やかに指導してもらえる。
私も、子どもの一人ひとりに合わせた、学習指導や精神面でのサポートをしてほしいと思います。
先生も個々の子どもに目が行き届き、声をかける量も増え、つまづきや、生活指導もしやすくなるでしょう。
しかし、実現するには、新たな教員や教室の確保が必要です。
そのため、大きな財政負担がかかることが問題なのです。
財政確保ができなければ、教員の負担が増加しただけ、というお粗末な結果につながりかねません。
また、教員や非正規教員の増員に伴う、人材の質の確保も課題です。
研修制度の仕組みが整備されておらず、教育内容の低下が心配されています。
もしそうなれば、安全な教育環境と学力の向上を期待している保護者は、質の悪い授業に、不満を感じることでしょう。
研修制度の充実によって、教育する人材の質をあげることが、質の高い教育につながるのではないかと思います。
まとめ
「少人数学級」について、解説してきましたが、子どもを預ける立場として考えると、非常にありがたい施策です。
学力面でつまずきに気付いてもらえたら、子どものテスト結果を見て頭に血が上ることも減るかもしれません。
そうなれば、素直に嬉しいです。
しかし、デメリットで紹介したように、人数が少なくなるということは、他の児童と触れ合う機会や多様な意見に触れ合う機会が減ってしまい、競争心を育む場が減少する可能性もあるわけです。
人は、学力だけよければいいわけではありません。
人間力を高めるためには、心を育ててあげることも必要でしょう。
うちの子にあってるの?
何が足りないの?
なにごとにもメリット・デメリットはあります。
私たち親のできることは、現状を見極める目をもつこと。
そして、自分の子どもには何が必要なのか、それは何か?
を考え、親として提案してあげることではないでしょうか。