今、児童手当の制度の見直しが検討されています。
特に、
- 現在、所得制限を超える場合、月額5000円を支給としている「特別給付」を、早くて来年度中に廃止する。
- 支給額を算定する基準を、世帯で最も収入がある人としていたのが、世帯全体の収入を合算して算定する。
以上の2点が大きく変わることになりそうです。
共働き家庭の増加に伴い、夫婦どちらか、多く収入がある方を基準に考えるよりも
世帯収入を合算して、というのは時代に合っている気がします。
しかし、今まで単独での収入では所得制限に引っかからなかった家庭が、夫婦の年収を合わせたら、上限を上回ってしまう…
そうなると、満額支給だった児童手当が、ゼロになってしまう可能性があります。
例を出して解説します。
夫700万円妻300万円の年収がある子ども2人の家庭は、今までは夫の700万円が基準となり、手当は支給されていました。
しかし、新しい制度になることで、夫婦合算の1000万円が判断材料となるため、支給額は一気にゼロとなってしまうのです。
収入が変わっていないのに、手当だけが変わってしまいます。
これでは、損をした気持ちになるのは当然ではないでしょうか。
政府は、この変更で得られた財源を、今後の保育所増設に使いたいとしています。
そうすることで、待機児童の問題を解決したいということのようです。
高所得家庭には理解を求めていきたい。
ともありました。
でも、ちょっと待ってください。
2019年に始まった幼児教育・保育の無償化や2020年の高等教育の無償化。
これも全て所得制限が設けられています。
低・中所得家庭は負担がどんどん減りましたが、高所得家庭の負担は全くというほど、減っていないのです。
働いて税金を納めているのに、子育ての部分では一向に恩恵に預かれないような、気持ちになってしまいますね。
この、納めている税金。
もしかしてこれが児童手当の、財源なのでしょうか?
児童手当の財源はどこから?
児童手当の財源は、国や地方が負担している他に事業主拠出金というものがあります。
事業主拠出金とは、企業が負担する税金のことです。
それが「子ども・子育て拠出金」として、児童手当の財源に充てられいるのです。
従業員が支払うのではなく、全額企業負担の税金となっています。
企業が児童手当を負担しているなんて、個人的には少し意外でした。
この「子ども・子育て拠出金」は、数年前まで「児童手当拠出金」と呼ばれていました。
名前だけ聞くと、全てが児童手当に充てられているように感じますが、実際には多くの子育て支援に活かされています。
その内容は3つあります。
- 児童手当事業
- 地域子ども・子育て支援事業 →放課後児童クラブ(学童)や病児保育、延長保育事業など
- 仕事・子育て両立支援事業 →企業主導型保育事業やベビーシッター利用者支援事業など
なるほど…。
児童手当の他にも、とても重要な子育て支援に使われているのが、「子ども・子育て拠出金」なんですね。
保育所と学童を利用している私にも、とても馴染みのあるものということが、分かりました。
また、企業からの税金ということは、そう簡単に引き上げることは難しいでのしょう。
児童手当の減額、廃止の検討が必要になっているのは、ここにも理由がありそうですね。
いまいちど児童手当のシステムを見直しておこう
今、満額、もしくは特別給付でもらえていても、今後どうなるかは未知のようです。
そもそも児童手当とは、一体なんのためのものなのでしょう?
その目的とシステムを整理したいと思います。
厚生労働省のHPによると、
児童手当制度は、児童を養育している方に手当を支給する
ことにより家庭における生活の安定に寄与するとともに、
次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に
資することを目的にしています。
とありました。
使い道などの、細かいルールはないようです。
多くの人が、育児に必要なものを買ったり、子どもの習い事の月謝にしていたり、貯金に回しているようです。
現在の制度では、
- 中学卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)支給対象
- 0歳〜3歳未満:1万5000円/月
- 3歳〜小学校終了前:1万円/月(第3子以降は1万5000円/月)
- 中学生:1万円/月
となっています。
月に1万円あれば、習い事が1つできますね!中学生になれば、塾代に足すことも。
もらうためには、一般的には市町村に申請することが必要です。
注意したいのは、「15日特例」といって、生まれた翌日から、15日以内に申請しなければならいことです。
これより遅れてしまうと、申請した次の月から支給のはずがそれ以降になってしまいます。
ちゃんと、期間内に申請すればもらえるお金ですので、期限を守って行いましょう!
里帰り出産で、ママが一時的に自宅を離れている場合でも、15日特例は変わりませんので、ご注意を。
まとめ
今後大きく変わることが予想される、児童手当の制度。
その財源が、企業からの税金も使われているということが分かりました。
共働きが当たり前になりつつある時代。
がんばって働けば働くほど、子育て支援の枠から、はじき出されてしまう仕組みには、なってほしくないと強く思います。
先進国の中でも、教育費が高いといわれている日本。
幼稚園から高校卒業までにかかる費用は、全て公立で総額は約540万円ほどと言われています。
生まれてから中学を卒業するまでに、受け取ることができる児童手当は、満額で約210万円。
高校卒業までの教育費の3分の1以上を、児童手当のみでまかなうことができる計算です。
月々にすると、小さな金額に感じてしまいますが、受給期間を考えると大きな金額ですね!
どう変わるか先が見えない児童手当ですが、受け取ることができるのならば、少しでも有意義に、そして計画的に使いたいと、私は思っています。