「横断歩道で手を挙げる」は間違いだった!学校などで教え方が変わった意味とは?
あなたは、学校や交通安全教室で、横だん歩道のわたり方をどのように教わりましたか?
「横だん歩道では手をあげましょう」と教わった人も多いかもしれません。
実はその教え方は、もう古いということを知っていましたか?
国がきめた交通ルールが書いてある『交通の方法にかんする教則(きょうそく)』に「横だん歩道では手をあげる」と書かれていたのは、もう40年も前のことなのです。
今は、「車が近づいていないかたしかめて、車が近づいている時は通りすぎるまで待つ」という言葉にかわっています。
そのため、学校や警察でおこなわれる交通安全教室で、「横だん歩道では手をあげる」と教えるところは少なくなりました。
そもそも、横だん歩道で手をあげるようになったのはなぜなのか。
また、交通ルールが変わったのはなぜなのでしょうか。
今回は、横だん歩道のわたり方がどう変わっていったのかを見ていきましょう。
横だん歩道のわたり方はどう変わっていった?
そもそも、横だん歩道で手をあげるようになったのはなぜなのでしょうか?
まず、日本で最初の横だん歩道が設置されたのは、1920年のことでした。
この時は、道路ではなく、路面電車の線路をわたるためのものとして作られました。
その後、車を使う人が一気にふえ、交通事故もかなり増えてしまい、子どもも、たくさんまきこまれてしまいました。
そういったことから、1960年に横だん歩道を作ることが法律(ほうりつ)で決まり、同じ時期に「横だん歩道では手をあげて合図をする」ということが広まっていったのです。
そして、1972年に国が決めた交通ルールである『交通の方法にかんする教則(きょうそく)』でも、そのように書かれました。
横だん歩道で手をあげるのは、車に合図をして安全にわたるためだったのですね。
しかし、1978年にそのルールが変わってしまい、「横だん歩道では車が近づいていないかたしかめ、近づいているときは通り過ぎるまで待つ」というルールになりました。
では、ルールが変わったのはなぜなのでしょうか?
実は、はっきりとした意味はわかっていません。
- 手をあげれば大丈夫とかんちがいする人が多かった
- 手をあげると体のバランスがくずれてあぶない
- タクシーがまちがえて止まってしまう
など、いろんな理由があると言われています。
このように国が交通ルールを変えたため、今では「横だん歩道ではまわりを見て、車が通り過ぎるまで待つ」と教えるところがふえたのです。
「手をあげる」教え方をもう一度しようとするところも!
そんな中、手をあげる教え方をもう一度しようとする都道府県もあります。
たとえば京都府です。
そのきっかけは、JAFという会社がおこなった調査(ちょうさ)でした。
その調査とは、“横だん歩道をわたろうとする人がいるとき、一時てい止した車はどのくらいいるか”というものです。
そのけっか、京都府はてい止する車が5%しかいなかったのです。
そこで、京都府のけいさつは、横だん歩道で手をあげる効果(こうか)をためしてみることにしました。
そのけっか、手をあげて車が一時てい止しした車は、何もしなかった時の5倍にもなることがわかったのです。
このことから、「手をあげるとわたりたい気持ちが運転手に伝わる」とわかり、手をあげる教え方をもう一度しようとする動きが始まったのです。
このような動きが他の都道府県でも出てきており、さらに、新しいサインや合図を考えているところもありますよ。
まとめ
あなたは横だん歩道のわたり方をどのように教わりましたか?
道路にいきなりとび出したりすると、大きな事故になることもあります。
手をあげてもあげなくても、わたる時にまわりをしっかりと見ることはとても大切です。
自分のいのちや相手のいのちを守るためにも、おたがいに気をつけながら横だん歩道をわたるようにしてくださいね。